[書評] 働かないアリに意義がある こんなに面白い本を書く学者さんがいるなんて ひさびさの当たり

働かないアリに意義がある<働かないアリに意義がある> (メディアファクトリー新書)
面白い!何も言わずに買いで問題ないです。以上!
文章が非常に丁寧で、素人にもわかりやすく説明しようという姿勢と、それでもキチンと説明しようという姿勢が伝わってきます。学者としての姿勢も素晴らしく、こういう人たちのために税金が使われていると思うと安心出来ます。

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世間一般に言うアリ理論は浅い!

あ、知ってる!アリって7割は働いてないんでしょ?働く3割を取り出してもまたその7割はサボるんでしょ?

というような一般常識の、その理由を非常に丁寧に、時には人間社会に例えながら教えてくれます。7割は働いていないというのは何故かしっていますか?なぜ7割なんでしょうか?このような疑問に丁寧に解説してくれています。サボっている7割というのも、ある瞬間に見たときに7割が働いていないのであって、その7割がいつも働かない7割というわけではないんですね。

また、アリや蜂の社会が沢山出てきますが、全部同じじゃないんですね。アリの中には女王がいない場合や、雌しかいないパターン、クローンばかりの社会など、生物の世界は実に様々なパターンがあり、大変興味深い。そしてそれぞれにちゃんと理由があるんです。昆虫の世界は人間のように倫理観があるわけではなく、アリだけになんでもありの世界なので実に極端なパターンなどは面白いですねぇ。

面白い昆虫の生態

ハチもアリも、非常に若いうちは幼虫や子どもの世話をし、その次に巣の維持にかかわる仕事をし、最後は巣の外へエサを取りにいく仕事をする、という共通したパターンを示すのです

なるほどーとうなされます。歳をとるほどにリスクの高い仕事をすることによって、平均寿命を上げる効果があるんですね。しかしうまくプログラミングされているもんですね。いったいどのタイミングで次の仕事にいくんだろう。昆虫の社会は、上司がいない世界です。なのにうまく動きます。その仕組みは是非本書で読んでいただきたいですが、実に不思議な仕組みです。

道を間違える個体がある程度存在する場合のほうが、エサの持ち帰りの効率があがったのです。

もはや人間のプログラマーよりよっぽど賢い。機械学習みたいですね。ある一定確率で道を間違えるようにしておくと、たまたま近道を発見する個体がいて、どんどん餌までのルートが最適化されるということです。すごい!アリさんすごい!なんというか、昆虫の世界は、人間と違って脳の力ではなく、システムとしてうまく出来ていて、結果、人工知能のような複雑な動きを実現しているという感じです。

ハウスではいつも狭い範囲にたくさんの花があるため、ミツバチたちは広い野外であちこちに散らばる花から散発的に蜜を集めるときよりも多くの時間働かなければならず、厳しい労働環境に置かれているようです。この過剰労働がワーカーの寿命を縮めるらしく、幼虫の成長によるワーカーの補充が間に合わなくなって、コロニーが壊滅するようです。

ひいいいいい!か、過労死まで・・・・っ!あるんですね。すごい。まさに人間社会を想像して背筋がぞっとしました。こういうところです。なんか参考になりますよね。

そうか、虫でも過労死して、結果壊滅するなら、会社を壊滅させないためには、せめて自分だけでもサボらないと・・・と使命感すら出てきますね。

虫の社会が指令系統なしにうまくいくためには、メンバーのあいだに様々な個性がなければなりません。個性があるので、必要なときに必要な数を必要な仕事に配置することが可能になっているのです。

つまりですよ、会社でロクな上司がいなくても仕事が回るようにするならば、会社は様々な人材を採用すればよいわけです。同じくらいレベルの高い人たちばかりそろえてもむしろダメなんです。いや、人間の世界は別にアリではないのでいいのかもしれませんが・・・。

働きアリは子どもの性を識別しており、女王が生む中からオスだけを選択的に殺して次世代の性比を調節しているらしいこともわかりました。これらの結果を鑑みると「女王」は名前に反してワーカーにコントロールされる弱い存在であるとも考えられるのです。

これもすごくないですか?会社でも結局平社員は弱い立場ですが、結局現場の最前線で働いているのは彼らなわけで、本当は仕事を直接操っているので事実上は強い部分もおおいにあるわけです。ここは読んでいてとてもはっとしました。生物の世界もスゴイんですね。

彼ら単眼型は通常型の労働にタダ乗りし、自分たちの卵を育てさせるだけのフリーライダーのチーターだったのです。このようなチーターは社会があればどこにでも現れます。

会社の甘い汁だけを吸おうとするヤツいますねー。ネットゲームなど社会性のあるゲームでも、ズルをするやつ、いわゆるチート行為をする人は必ずいます。社会が大きいぶん、ズルの効果が大きいんですね。

ただ、そのような社会は必ず滅びてしまいます。そしてまた新たな社会が出来て、またチーターが現れて・・・つまり平均的にバランスがとられているということらしいです。ポイントは、平均的に見ればバランスがとれているが、チーターがいる社会は必ずチーターが得をするのでその社会は弱くなってしまうということ。人間社会ではルールがあり、破ると罰則がありますが、やはりズルすると結局自分の組織が弱くなるから、長い目でみるとお得なことはないんですね。

最近企業は、非正規雇用労働者を増やしたり賃金の上昇率を抑えたりするいことで労働生産性をあげることに邁進していますが、こうした対処が労働者の生活基盤を悪化させ、それが一因となって社会全体の消費意欲がさがっています。企業は商品を多く売ることで利益を出し、会社を存続させるのですから、こういう状況が企業の存続に有利なわけはないでしょう。

ほんと、アホですよね。ただ、企業の偉い人たちは、自分たちが偉い立場にいる間だけ無理矢理数字をよくして自分たちの給料をもらって逃げ切ればいいというまさに立場を利用したチーターなわけですから、そんな誰が見ても衰退するだろう、という戦略もとれるわけです。

そんな会社潰れてしまえばいい、淘汰されていけばいいという考えだとしても、そのような会社が潰れるころには、もう甘い汁をすった人達は逃げているわけです。これが今の逃げきり世代です。アホらしいと言っていてもはじまらないので、半澤直樹みたいに逆襲していかなければならないのかもしれません。今の若い世代の人は。

(グローバル化によって)土俵が一つになってしまえば、利己者によって食いつぶされればすべてが終了ですし、モノの生産と流通を行わないヘッジファンドなどが企業活動の利益を吸い上げて、一つになった経済圏全体の経済基盤を弱めてしまう動きに対抗できません。

そうか・・・・。ヘッジファンドで働けばいいのか・・・・(←利己的

科学は、「他者もそうだと言わざるを得ない」客観的な方法で世界を記述し、その法則性を明らかにします。そのため、科学の法則のみが万人にとっての現実世界を操作することができ、それゆえに科学には他の分野に比べて破格の資本が投入されています。

何に役に立つかわからないのも、科学の世界ですから、すぐに役に立つような研究ばかりにお金を出すのではなく、わからない事実がわかるような研究にはちゃんとお金がいきわたるようになってほしいですね。すくなくとも昆虫社会の仕組みはわれわれ社会で働く人達にとってはとても役に立つと思います!

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KADOKAWA / メディアファクトリー (2013-05-24)
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